Crystals of snow story on parody

もう一つの♪

***Jack-o'-Lantern ***

 

注:澪&雅之シリーズのパロ作品です、パロが嫌で無い方のみどうぞ♪

Once Upon a Time ・・・・・

遠く日本から遙か離れた北のイングランドと言う島国に、レイと言う名の青年がおりました。

レイはそれはそれは、美しい氷の彫刻のような顔をしてはおりましたが、心はやはりとても冷たく、真冬の湖のようでございました。

彼の美しさに惹かれ、恋心を抱く乙女は数知れず、まだ蕾の幼い少女から、熟れた熟女まで、それはもう、大変なもてようでございました。

しかし本気で誰も愛することの出来ない冷たい心のレイは、来る物拒まず(いえいえ、もちろん選別はいたしておりましたが)、弄ぶだけ弄ぶと、飽きた玩具を捨てるように、本気になって、身も心も捧げた乙女達をポイッと捨ててしまうのですから、目を付けられた乙女達はたまりません。

何人もの乙女がそうして、捨てられている噂を聞き知ってはいるものの、レイの魅力に逆らえず、自分だけは違うはずと信じた乙女達が、親を捨て、夫や家庭を捨て身を捧げたあげく、身も心もボロボロになり、いったい何人、世を儚んで冷たい湖に身を投げたことか・・・・・・・・

しかし、天罰は下るもの。

レイが、今日はどの娘にするかな、今夜はちょっと熟れ気味の熟女でもいいかなと、鼻歌を歌いながら町へ繰り出した、ある夜。

暴走してきた馬車に轢かれあっけなくこの世を去ってしまいました。

享年、若干27歳。

万聖節の前夜の出来事でございました。

*:.。.☆.。.:*

 

漆黒の闇の中、向こうに一条の光が見える。

「ここは・・・いったいどこなんだ?」

レイは、ぽつんと暗闇の中に立っている自分に気づき自問した。

しかたなく、光の見える方に進んでいくが、何故か踏みしめる大地はふわふわと柔らかく、高級の絨毯の上か、ベッドの上でも歩いているような気分だ。

しばらく歩いていくと、こじんまりとした家の両脇に映画のセットのような、色とりどりの花々に囲まれた綺麗な扉と、積み上げた髑髏で縁取られたおどろおどろしい扉が二枚ボンヤリと見える。

ようやく、光源に近づくと、それは家の前に炊かれた大きな松明(たいまつ)で、その横に少年が1人ちょこんと椅子に腰掛けていた。

少年はレイが近づいていくと、あわてて立ち上がり、

「こんにちは、え、えっとお、あなたはレイさんですね?」

手に持った書類をパラパラと捲りレイと見比べながら尋ねた。

暗闇の中で松明に明るく照らされた少年は、緊張に少々表情はこわばっているものの、つややかな黒髪に大きめの黒瞳、優しげな面差しをした超美少年であった。

「お前こそ誰なんだよ。人の名前を聞く前に、自分が名乗るべきなんじゃないのか?」

ほほぉ・・・・・なんとも可憐な美少年だな。

男にはさっぱり興味のないレイだったが、思わず少年の可憐さに目を瞠った。

「あーー、それはすみませんでした。僕は、死界の門番カズミ・ペテロさんの幼なじみで、死神のミナミ・マサと言います」

書類を胸に抱き、ミナミは丁重に頭をピョコンとさげた。

「死界ぃだとおおおおお???で、お前は死神だって???」

それまで少年のかわいらしさに、やに下がっていたレイも流石に驚きを隠せず、怒っているかのような大きな声をだす。

「わぁ・・・・・すみません、すみません」

大声にビクッと竦み上がった死神ミナミは、つややかな漆黒の髪を揺らしながら、何度もレイに頭を下げた。

少なくとも神と名の付く死神なのだから、人間ごときに頭を下げる理由はないのでは?と思うのだが・・・・・

「あの、あの、その・・・・・僕、今日はカズミ・ペテロの留守を頼まれてるんですけど・・・・
あの・・・
とっても言いにくいんですけど、レイさんは馬車に轢かれてお亡くなりになったんです」

「俺が死んだぁ?」

そういえば、通りを渡ろうとしたときに、馬車が暴走してきて・・・・その後の記憶がないような。

「思い出して頂けましたか?」

ホッとしたのも束の間、書類をじっと見つめたあと、

「あのぉ・・・・・・生前の行いがあまりよくないようですね」

おそるおそる、レイを見上げながら、ミナミは小さな声で話す。

「ふん。俺が何をしたっていうんだ?火付けも泥棒もしちゃいないだろうが」

不遜な態度で肩を聳やかす。

この男、自分の今までの行いが悪いとはこれっぽっちも思っていないのだからたちが悪い。

「え・・・ええっと、罪状は・・・・・あ、あったあった」

書類の中程を指でなぞりながら、ミナミがかぁっと顔を紅くした。

「あのぉ、そのぉ。沢山の女性からおもてになったんですね」

おずおずと、続ける。

「ああ、もてたが、それがどうかしたのか?」

僅かに苛立ちを漂わせ、レイはミナミの手元を覗くが、書いてある文字はレイにはさっぱり分からない象形文字のようなものだった。

「えっと、えっと、あの・・・・・数々の乙女を弄んで捨てて、そんな事ばかりを繰り返していたお前の行いは許しがたい。よって、お前は地獄行きとする」

つらつらと読み上げるミナミに、

「なんだとぉ・・・?」

怒りを込めレイが唸ると、整った顔立ちから青い炎が立ち上る。

「ひぃい・・・・ごめんなさい、ごめんなさい。僕じゃないんですぅ〜。
書いてあるまま読んだだけなんですから」

「俺に地獄へ行けと言ったな?」

「すみません、すみません。
僕は留守番で、書類どおり来た人を、天国と地獄の門へ振り分けるだけなんですぅ」

うるうると、恐ろしさにミナミの瞳が潤み出す。

気の弱い死神は今にも泣き出しそうである。

死神と言うと恐ろしいイメージがあるが、ミナミは子供専門の死神で、病気や、事故で儚くも夭折してしまった子供を迎えに行き、怖がらないように、優しく天国へ連れて行くのが役目なので、ようは役目的には天使のようなものなのだ。

「俺の罪状は、女にもてたってことだけか?」

もてたのが悪いわけではなく、弄んで捨てたのが罪なのだが、レイにはどうもその違いはわからないようだ。

その時、ふっっと、レイは何かに閃いたように片眉を上げた。

「はい、そ、そうです。ほかには別になにもなさってないようです」

コクコクと頷くミナミの頬に一粒の涙がツーっと零れた。

「女をやめれば良いわけだよな?」

「は、はい。そうなります」

死神以上に死神っぽく、氷の美貌が恐ろしいレイに、ともかく怒られたくないミナミは、あまり考えもせず、頷いた。

「じゃあ、今日限り、女はやめるとするか」

狼が舌なめずりをしたかのように、レイはニヤリと唇を眇めた。

 

*:.。.☆.。.:*

天国の門と地獄の門の狭間にある小さな家のベッドの中。

「ダメぇ、あ・・・はぁう・・・」

人の世の穢れに染まらず、無菌状態だった子供専門の死神はあれよあれよと言う間にレイの手中に落ちてしまう。

『女には今後指一本触れない』と言ったレイの言葉に偽りの色は見あたらず、ミナミはすっかりレイが改心したものだと思ってしまったのだ。

もちろん、レイの言葉には偽りはない。

偽りはないが・・・.○○○をしないと言ってるわけではない。

2人のシルエットが上になり下になり長い時間縺れ合い、黄泉の国にミナミの甘く切ない嬌声が響く・・・・

「な!なにをしておるーーーーー!!!!」

パァーーーン!とドアが明けは放たれ、唐突に叫び声がしたとき、ミナミは度重なるあまりの快感に意識を手放した所だった。

ぐったりとしているミナミの上に覆い被さったまま、レイは声のほうに振り向いた。

「なんだ、お前。野暮な奴だな。なにしてるってきまってるだろう」

不遜に笑ったレイに、

「き、貴様。。。」

ふるふると怒りに身体をふるわせてペテロ・カズミはレイを指さし言い放った。

「さっさとここから出て行け〜〜!!!」

 

*:.。.☆.。.:*

 

Once Upon a Upon aTime ・・・・・

輪廻転生と申しますが・・・

またしても、遠く日本から遙か離れた北のイングランド

またしても超麗しく生まれついたレイに勿論前世の記憶はないのだが。

彼の美しさに今回もわらわらと美女が群がるものの、レイは女には見向きもしなかった。

見向きもせず、心改めたのならばよかったのだが、いかんせん、今度は美少年に目がなかったのだ。

しかし、どれだけ見目の整った少年を陵辱しても、レイの心はどこかぽっかりと穴が空いたように満足することが無かった。

どの子を抱いても、なにかが違う・・・・

あれでもない、これでもないと美少年を取っ替えひっ替えしているうちに、男色と罵られながら、家まで捨ててレイに身も心も捧げたあげく捨てられた少年達が、いったい何人、世を儚んで冷たい湖に身を投げたことか・・・・・・・・

しかし、またしても天罰は下るもの。

少年といちゃついている所へ、巷にあふれ出した蒸気自動車が暴走してきて、あっけなくこの世を去ってしまった。

享年、若干27歳。

またしても、時は万聖節の前夜の出来事。

*:.。.☆.。.:*

「あぁああああああああああぁあ」

暗闇の中遠くにぼんやりと光が見えると思ったとたん、叫びながら胸に飛び込んできたのは、見覚えがあるようなないような、1人の少年。

「おかえり、レイ!!僕、僕まってたんだよ。黙っていなくなっちゃったから・・・・・僕、僕・・・」

ぐずぐずと鼻を鳴らし、少年はぐりぐりと頭をレイの胸に押しつけて泣いている。

「お・・・おまえ、だれだっけ?」

のぞき込んだ少年の顔はえも言われぬほど愛らしく、今まで冷え切っていたレイの心がほんわりとした温かさに包まれると、前世の記憶と前にここに来た時の記憶が蘇った。

「僕のこと、忘れちゃったの?」

心配そうに濡れたまつげを瞬かせながら見上げたミナミに、

「忘れるわけないだろ」

ずっと、お前を捜してた。

そうか、俺はずっとお前を捜してたんだ。

レイが深く深く口づけると、ミナミは満足げに甘い吐息を漏らした。

手に手を取り、門番の所につくと、苦虫を噛み潰したような顔で、カズミ・ペテロが書類を手に仁王立ちになっていた。

「カズミ、レイがレイが戻ってきたよ」

嬉しそうにはしゃぐミナミに、カズミはしかたなく、よかったなと微笑みかけた。

「さて、レイ。お前はたしかに前世の女を悲しませた罪を後悔し改めたものの、こんどは沢山の少年を悲しませた」

2人を前に並ばせると、威厳高き聖カズミ・ペテロは朗々と罪状を読み上げる。

「しかし、お前の最大の罪はミナミ・マサの心を盗んでいってしまったことだ」

コホンとひとつ咳払いする。

「よって、ミナミを二度も置いて、下界に戻ることもゆるさんし、天国へ行くことも地獄に行くこともまかりならん。
よって、この黄泉の国を永遠にミナミと共に彷徨うのだ」

あの日いらい、泣き暮らしていたミナミを慮ばかる、大岡裁きである。

「さあ、これをやろう」

ペテロはランタンに、地獄の劫火から轟々と燃える石炭を一つ取り火を灯す。

「ふたりでどこへでもいくがよい」

時折、世界各地で目にされる鬼火は、レイとミナミが仲睦まじく黄泉の国をそぞろ歩く時に持ち歩くランタンの光だと言うとか言わないとか。

万聖節の前夜をいつ頃からか、人々はハロウィンと呼ぶ。

 

END

お伽噺、昔話とくれば彼らですよねぇ(笑)

それに地獄の門番を誑し込んでとくれば、やはり氷川的には澪が一番やりそうで(笑)

基本的に二次創作はしないんですが、自作キャラのパロは大好きです♪

楽しんで頂けたでしょうか。

裏に最初からupすることも考えたんですが、企画時でもありますので取りあえずは、TOPからリンクを張りました。企画終了後は裏に置きます。

裏には他にも自作パロがございます、入り口の分からない方はフォームよりお問い合わせ下さいませ♪〈お問い合わせの場合はメルアド間違えないでくださいねぇ〉

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