*天の邪鬼なのは*

斉姫様☆作

アイツは気がついているのだろうか、アイツのオレに対する態度を。
アイツは気がついているのだろうか、アイツのオレを見る眼を。

「・・・ふぅ」
・・・・・気がついていないだろうな。たぶん、・・・いや、きっと。

そしてオレがあいつに対して取っている行動の意味にも気づいていないのだろう。

これは確信。

他のものに対しても、たぶん自分のことに関しても鋭すぎるくらいに鋭く敏感なあいつがオレの事だけは気がつかないでいる。いや、気がつかない振りをしているのか・・・。

全く・・・。惚れた弱みとはよく言ったものだ。

恋の駆け引き・・・。陳腐な言葉だが真実だな。

・・・最近になって、つまりあいつに惚れてから知った。

「俺のこと、好きだろう?」

天邪鬼でへそ曲がりなアイツに真剣な言葉はご法度だ。

本心を冗談にまぶしてからかいとして聞く。ちょっかいを出すオレにアイツは答える、

「お前なんて大嫌いだ」と。・・・天邪鬼。

なんとも思われていないよりは「嫌い」と言われる方がいい。

もちろん「好き」と言ってもらえるのが何よりだが。

しかし。「オレのこと、嫌いだろう?」と聞いた所であいつは「ウン」としか答えないだろう。そんな時だけは天邪鬼じゃないんだからな、あいつは。

普段、他の奴らに対する態度とオレの前での態度の違いは一目瞭然というものだろうに。

キレイで気が強くて、かわいいあいつ。

オレの前でだけ気の強いあいつが動揺するのに。

オレの前でだけポーカーフェイスなあいつの貌が崩れるのに。

それでも頑なにオレを拒絶する。

「・・・本当に落としがいのあるヤツ」

オレを本気にさせたのはお前だからな。

オレを本気にさせたんだから覚悟しとけよ・・・・。

あいつの怒って赤くなった表情を思い出しながら、オレは自然と緩む顔を止められなかった。

〈END〉

BBSでおなじみの常連様、斉姫様から強奪しちゃいました〜

素敵ですよね〜♪

こういう、相手の見えないSSって、なんだかすっごく背景が気になりませんか?

ああかな、こうかなと妄想が膨らみますよね〜

斉姫様ありがとうございましたvvv