Act3        予防注射

今日は、園児達の予防注射日です。

園に病院から先生が数名出張してきてくれるのですが、注射の好きな子供なんてまずあんまりいませんよね?

だから、今朝からうさぎ組さんの教室ははちの巣をつついたようなパニック状態なのです。

「おい、万葉、何隅っこで震えてんだよ?」

実際は自分も怖いのだが、そんなそぶりを見せるなんて元祖強気受けの〈え、今はまだ違うって?〉ユキちゃんのこけんに関わるので、両手を腰に置いてふんぞり返ると、小さくなって震えている万葉くんをははっはと笑い飛ばした。

「だ・・・だってぇ、僕、注射きらいなんだもん・・・い、痛いのはイヤなんだもん」

涙でうるうるした目で、万葉くんはユキちゃんを縋るように見上げた。
やっぱり僕のユキちゃんはすごい!注射なんかちっとも怖がらないんだ。

痛いのはイヤ・・・・・・・・確かどこかで訊いたような・・・・・・なるほど、この二人の間柄の根底にはこのことが深く関係しているらしい。

「でも、おまえんとこの医者もくるんだろ?確か光一朗とかっていう奴」

「う、うん・・・・・光一朗先生。あのね、でもね・・・・・・」

万葉くんが何かを言おうとしたときに、恐れていた医務室への移動が始まった。

園児の移動はカルガモ移動である。前の人の肩に両手を置いて一列で進んでいくのだ。

「はーい。お手てを前の人の肩に置いてね〜」

先生のかけ声に、

「ケッ!ださくてやってらんねぇぜ」

と吐き捨てたユキちゃんを、万葉くんはまたしてもカッコイイと思うのだった。



「イイコだね、痛くないからね」

うさぎ組担当の光一朗医師は、真っ白な白衣を着込み丸い小さなイスに座りながら並んですすり泣いている園児達に優しく話しかける。

ところが、真っ白な白衣は光一朗の美貌を際だたせ、不細工な医者にはない神秘的な怖さを感じさせるものだから、園児は凍り付いたようにガチガチになり、恐怖に戦いている。

「ああ、泣かないでね。ほら、終わっただろう?」

光一朗は困ったように微笑むと、次はだれかな?と強張ったままの後ろの子に話しかけている。

何人かの盛大な泣き声を聞いた後、一人の園児だけは顔見知りなのか臆することなく、めくり上げた腕をぐいっと光一朗の前に差し出した。

取り立てて、綺麗な子ではないが真っ黒で意志の強そうな瞳が印象的な男の子だ。

「やぁ、正臣くん。君は注射怖くないの?」

光一朗もなぜかほかの園児に対するのとは僅かばかり態度が違う、なんだかすこし楽しそうに、ゆっくりと消毒液の染みたコットンで正臣の二の腕を拭う。

「いいから、さっさとしちまえよ」

ぷいっと横を向いた まま、正臣は視線を下に落とした。

「いいんだね、いくよ」

そっと腕を掴むとチクリと細い腕に針を刺す。

くっと苦痛に顰められた正臣の顔にくちびるを寄せて、

「痛くないだろ?すぐ、抜いて上げるからね」

愉しそうに甘い声で光一朗は囁いた。

その姿を列の後ろに並んで見ていたユキちゃんは、万葉くんの首根っこを捕まえて、隣のオオカミ組さんの列の後ろに並び直した。

「ど、どうしたの?ユキちゃん?」

怪訝そうに聞き返した万葉くんに、

「あいつ・・・・・・・・へんだ」

まだまだお子さまのはずなのに真っ赤に頬を紅潮させて、

「お前二度とあの医者に関わるなよ!こっちのジジイに打って貰え」

なぜかぷんぷんと憤慨している、ユキちゃんだった。



チクリ、チク、チク。

お注射されて、大泣きしている君はだ〜れだ♪

ゆきの園は今日も元気ですv

 

★ミズシマサカナさま並びに【Happy Rush】のファンの皆さまへ★

氷川も大好きな万葉×ユキちゃんを・・・・・・

ああ、ごめんなさい(><)

えっと、光一朗×正臣がお気に入りのサカナ様の要望で、このような運びとなりましたv

なんだか見ようによってはエッチいな雰囲気に〈笑〉

ここにゲスト出演してくださった、万葉・ユキくん、両名に心から、感謝いたします(*^_^*)

 

★お客様各位★

懲りもせず、ご要望が有ればまた書きたいと思っています〈笑〉

もし、何か有ればフォーム・メール・BBS等でおきかせください(^-^)