Act4        お砂場

お日様の日差しがポッカポカ、お外遊びには最適な春日より。

長い冬が開け、それまでは外遊びが苦手だった、さむがりさんも今日は表で遊んでいます。

「ほら、みてみて、トンネルだよ〜」

「あ、ほんと、開通だ〜」

小さなお山を挟んで楽しそうに遊んでいるのは、砂糖菓子のように可愛い二人組。

ふわっふわの栗色の髪に、ミルク色の肌。

チューリップ組さんのワッペンを付けているこの二人は鏡に映したようにそっくりだ。

「ねぇねぇ、依月ちゃん、そこのスコップ僕に貸してくれない?」

とことこっと寄ってきて、同じチューリップ組の渚はどうやって見分けたのか、赤いスコップを持っているこにそう言った。

ところが、

「また間違うぅ〜、僕は佳月だよ。分かんないならわかんないって言えばいいでしょ」

「えへ、ごめん。だって、依月ちゃんだと思ったんだもん」

悪びれもせず、えへへと頭を掻く渚に、

「間違ったから、貸して上げない」

佳月はぷくっとほっぺを膨らませた。

「う・・・・・・・」

途端に目をウルウルさせだした渚に、依月ちゃんが慌てて助け船を出す。思いっきり甘やかされて育ったファザコン渚は幼稚園でもすぐに泣くので有名なのだ。

「もう、佳月たら。ごめんね、渚ちゃん。僕のスコップかしてあげるから泣いちゃ駄目だよ」

「え・・・?グズン。いいのぉ?」

ぐいっと拳で浮かんだ涙を拭って、渚はにっこりと依月ちゃんに笑い掛けた。

「うん。ママ達だって時たままちがえるんだもの、渚ちゃんがまちがってもしかたないよ」

「ありがと。依月ちゃん」

「依月ったら、すぐそうやっていいこぶるんだから〜」

間違えたくせにちゃっかりと依月のスコップまで手に入れた渚が気に入らないのか佳月はぷいっと唇を尖らせた。それを見て、依月は困ったように微笑んでいる。

この二人、そっくりな容姿とは裏腹に中身はかなり違うようだ。

「ありがとう、依月ちゃん。佳月ちゃん、ごめんね・・・・」

もう一度、申し訳なさそうに、佳月に謝って、その場を離れかけた渚に、

「渚ちゃんは何作るの?」

依月ちゃんがぽんぽんとお山を堅めながら尋ねた。

「わかんない」

にっこりと、満面笑顔で渚は振り返った。

この頃から、泣いたり笑った、忙しい子である。

「・・・・・・」

渚の返事に二人がきょとんと顔を見合わせる。

「うんとね、えっとね、オオカミ組さんの秋人くんが僕になんか作ってくれるんだって」

渚は恥ずかしそうにもじもじと身体を揺らした。

「「あ・・・そう」」

双子ちゃんは同時に、な〜んだ、そう言うことかと同時に顔を見合わせてハモッた。

オオカミ組でも一番体の大きい秋人くんはいつも何かと渚にちょっかいをかけて、それこそ、泣かしたり、笑わせたりして遊んでいるのだ。

「渚〜!!!」

「は〜い!!!」

噂をすれば何とやら、明るい栗色の髪をした、小学生に見まごうような立派な体格をした少年が渚を手招きしている。

これほど、スモックの似合わない園児もいまい。

慌てて走り去る渚を後目にまたしてもお山作りの作業に戻った二人は、

「渚ちゃんて、なんか、可愛いよね」

「でもあれって、犬が懐いてるみたいじゃない?僕はやだな、だって時々秋人くんイジワルゆって、渚ちゃんのこと泣かすじゃない?」

「でも、イヤじゃないんじゃないの?呼ばれたらすぐに秋人さんとこに行くでしょ」

「だから、子犬みたいに可愛いわけ?」

「うん。きっと可愛すぎて泣かしちゃうんだよ」

依月ちゃんはしたり顔で、手についた砂をパンパンと払った。

「可愛いから?」

真正面、鏡に映したようにそっくりな姿形で佳月ちゃんの表情だけが何とも不可解に首を捻っていた。


「うわっ!」

ピューッと吹きわたった暖かな春一番に、お砂場の端っこに風妖精がダンスを踊っているように小さな旋毛が巻おこる。

それぞれの外遊びに熱中している園児達はそんなことには気づくことなく、吹きわったった強い風に歓声を上げていた。

まもなく、春本番!

ゆきの園は今日も元気ですv

 

★深月櫻さま並びに【月の降る庭】のファンの皆さまへ★

氷川のお気に入り双子ちゃんをお借りしてしまいましたぁ(><)双子ちゃんをかき分ける作業が出来ているかどうかがめちゃくちゃ不安です〜

えっと、秋人×渚お気に入りの櫻さまの要望で、このような運びとなりましたv

ここにゲスト出演してくださった、佳月・依月ちゃん、両名に心から、感謝いたします(*^_^*)

 

★お客様各位★

懲りもせず、ご要望が有ればまた書きたいと思っています〈笑〉

もし、何か有ればフォーム・メール・BBS等でおきかせください(^-^)