Crystals of snow story

*ANGEL*

 

 

輝く黄金

煌めく金の髪

白磁の肌に映える金色(こんじき)

澄み渡る泉のような深い深い藍色の瞳

思慮深さをたたえる瑠璃(るり)の色

天使のような面差しに浮かぶその微笑み

僕をとらえて、今も離さない。

どれだけ 君を愛しただろう。

どれだけ 君を憎んだだろう。

 

決して君自身を手に入れることなど出来はしないのに・・・・・・・・

 

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昨今主流のマンモス大学において、敷地内にある図書館の多くは、コンピュータールームも兼ね備えているために、別棟になっていることが多い。

眞一の通っている大学も例外ではなく、本館からほどよい距離に建てられた4階建ての広々とした建物が図書館として使われている。

長い夏休みも終わり、後期ゼミの初日である10月1日午後、眞一はその建物を目指して歩みを進めていた。

先ほどまでしめやかな秋雨がしとしとと降っていたために、足下の落ち葉混じりの土がおろしたての子牛革のショートブーツにまとわりつく。

常に、まわりの視線を頭の片隅で気にしながらのナルシスト気味の彼にとっては、些か自尊心を傷つけられかねない、心許ない足取りで。

「まったく・・・・少しゼミに遅れたからって、俺一人にこんなに大量な書籍を戻しておけなんて、教授も意外と器が小さいな・・・・・・」

長身でスタイリッシュな姿が隠れてしまうほどの書物の山を抱えた眞一は、時間に遅れた自分の非を棚の上に上げたまま、ブツブツと不平を漏らし、図書館の自動ドアを抜けていく。

教授にお小言と一緒に、この用事を言いつかったときには、いつもどおり眞一シンパの女子大生がこぞって手伝いを申し出たのだが、老長けて賢しい前原教授は小さな咳払いひとつで、皆に自分の意志を伝えたのだ。

つまり、誰一人手を出すことはならぬと。

仕方なく、一人で合わせれば20キロほどもあるであろう本を抱え上げて歩いては来たものの、眞一の足は自動ドアを抜けたあたりで、ハタッと止まってしまう。

「おいおい。どうしろっていうんだよ・・・・・」

わかってはいたものの、目の前にあるのは駅の自動改札よろしく、学生カードを通さなければ抜けれない、レーンが二列。
 
両手がしっかり塞がってる状態では後ろポケットの財布の中に入っている学生カードを取り出すことなど不可能に近い。

その上、ほんらい学生には持ち出し不可のこの貴重な書物を地べたに置くことは、さすがに出来はしない。

ツルリとした廊下は外の泥が持ち込まれ、うす茶色に汚れているのだから。

 

「お困りですか?」

斜め後ろの位置から、幼さの残る少女の可憐な声が聞こえた。

当たり前だろっと!!と少々語気も荒く言いたいところだが、そこはフェミニストの鏡の眞一、

「ほんと、我ながらみっともないことこの上ないけど、見ての通り、両手が塞がっていてカードが取り出せなくてこまってるんだよ」

と、まだ、大学生と言うより中高生のような幼い声の持ち主のほうに、クールな笑顔を向けた。

あれ?

ふいに、整った眞一の笑顔が不審にゆらぐ。

確かに斜め後ろから女性の声がしたはずなのに、そこには誰もいないのだ。

「僕のカードを入れましたから、どうぞ、一緒に入ってください」

先ほどの声がいつの間にか前に回り込み、抱えた本の向こう側から聞こえる。

深く考えないうちにゲートが開き、あわてて、眞一はその声の主を追うように図書館の中へと入っていった。

カードを抜く、小さな白い手に、視線を釘付けにしながら。

 

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皆さんご存じ、「研&鈴」のあのお兄さん眞一の登場です♪

超年の差って書いてますし、氷川もさっきまでそう思ってたんですけど・・・・・

年齢差、光一郎と正臣と同じなんですねぇ・・・・

いずれはあの程度に縮まるわけかとさっき気が付きました(笑)