光の中で微笑んで 序章
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すすり泣きが聞こえる・・・。
漆黒の闇の中で、幾ら歯をくいしばって堪えても、小さな血の気の失せた唇から漏れる嗚咽が闇に低く響く。
凍える寒さと餓えに絶えきれず、薄汚い毛布に縋るようにくるまりながら、小さな男の子が膝を抱いて、孤独に震えながら啜り泣いている。
ああ・・・可哀想に・・・ほら、君。僕の所へおいで。
もう泣かなくていいから、僕が力一杯抱きしめてあげるよ。
ご飯もお腹一杯食べさせてあげる。
だからお願い泣かないで・・・
僕がたくさん愛してあげる。
もう、大丈夫なんだよ。
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うっすらと明るくなってきた明け方に目覚めて、僕は、ほう〜と細い溜息を吐いた。
随分長い間昔の夢なんて見なかったのに・・・
寒くはないのに白いシーツにくるまれた細身の裸身を悪寒にブルッと震わせた。
僕が身体を震わすと隣に寝ている男がなにやら呟いて、ごそごそと寝返りを打った。
名前も知らないその若い男は、昨夜僕を好奇心からだと言って5万円で買ったんだ。
男は若いせいか、それとも男を抱くのが初めてだったからなのか、何度も僕を求め、ほんの数時間前に眠ったばかりだった。
朝まで付き合う約束だったけれど、これだけすれば十分だろう。
もうじき朝なのだから帰っても約束を破ったことにはならないよね。
今日はまだ水曜日だから、僕は学校にも行かなきゃならないんだ。
男を起こさないようにそっとベッドを滑り降りた僕は、手際よく椅子に掛けて置いた衣服を身にまとい、男宛にガラステーブルの上にきちんとメモを残して、安っぽいホテルの部屋を後にした。
新連載の序章です〈笑〉本当に序章〈爆〉
今回、マジでメチャくらいです・・・・・・・・なので、覚悟の上お付き合いくださいませ。
連載はたぶん今回は12回だと思います。
間に、甘いもの挟もうかなぁ・・・・