AI makoto運命★2001 Vol.2
櫻の園 another story


前作はこちらから

 

新しい生活って、慣れないでおたおたしているうちにも、ちょっとずつリズムができていくもんだ。

オレは新学期早々バスケ部に入り、毎日ボール磨きばっかやらされていたし、親友の考太郎はサッカー部に入って、やっぱりボール磨きばっかやらされていた。オレらそんな忙しい(?)クラブの合間を縫って、お互いのレンアイについてキアイを入れて語り合ったりして、それなりに楽しい学院生活を過ごしてんだ。
コータローは、同じクラブの史郎って奴が好きで(なんか二人の関係は昔からちょっと複雑らしいんだ。オレよくわかんねえから、あんま深くつっこんだりはしねえけど)、オレは亜衣ちゃんが好きで。同じようにオトコが好きなんだがしかし、そのなんてゆうか愛し方ってゆうの?それはオレとコータローではちょびっと違っていた。

「でもさ舞琴(まこと)って、僕は絶対受けがいいと思うよ」
「なにいってんだタコすけコータロー!!このオレ様のどこが受けなんだよタアコっ!!」
昼休み。オレらは校庭のすみっこの桜の木の木陰で二人、密会をとり行っていた。何故、二人で密会なのか。それはオレが、ねえちゃんの部屋から黙って取って来たキケンなブツをこっそり持ってきているからだ。これはドウジンシといって、超キケンなブツなんだぜ。一見すると少女マンガチックなイラスト満載のただのぺらい安っぽい本なんだけど、よくよくみるとそのイラストはオトコとオトコで抱き合っていたりするし(しかも服が乱れてたりとかね)、そんで中のテキストは、「好きだ先輩」「オレもお前のことが」とかなんとかいいながらオトコとオトコがやっちゃうハナシばっか。すげえよなオレのねえちゃん、ナニ考えてんのか弟のオレにもよくわかんねえぜ。ってかオンナがこれ見て楽しいってのが、イマイチよくわかんねえんだけどさ。
とにかくこうゆうの、オレとコータローにとってはいわゆるなんてのオトナへの参考書みたいなもんなんだけど。先生とかクラスメートには見せたかねえよ。見せたらきっとすげえ問題になるだろうしな・・・。ま、そうゆうキケンブツなんで、とりあえず密会してるのなオレら。


「でもさ、こういうの見てるとやっぱり、攻めって受けよか大きいよ普通。っていうか、受けよか頭ひとつ小さい攻めなんていないよ今のところ」
ドウジンシをぱらぱらしながら、コータローの顔は赤い。け、こんなんで照れやがって可愛いってんだよコータロー。
「こいてんじゃねーゾ、コータロー!自分が受け受けしてるからって、お前ひとまで勝手に受けにしてんじゃねーっての。オレは確かに今はチビだけどな、ちゃんと毎日バスケやってバナナ3本食って牛乳ばかすか飲んで、こうやって日に当たってるだろうがよ。こんで背がぎゅ〜んと伸びて見ろよ、受けなんてやってられっかっての!」
なんのハナシをしているかというと、つまりこうだ。
オレらがドウジンシで仕入れた情報によると、男同士で愛し合うには役割というのが必要らしいのだ。ひらたくゆうと、突っ込む方と突っ込まれる方(っていうとコータローがすげえ怒るんだ。なんでだよう、だって他に言いようないじゃん)。それで突っ込む方を攻め、突っ込まれる方を受けっていうらしいんだけどさ。

コータローはどうやら自分は受けだと悟っているらしい、ま、確かにこいつジャニ系の可愛い顔だし、体格だってオレよか華奢だしね、史郎って奴と比べた感じじゃ、まあそれが自然だよな。
しかしコータローは、自分が受けというだけじゃ飽き足らず、オレまで受けじゃないかとかいうんだぜまったく、冗談じゃねえぞ。
「でもさ、まことは自分じゃわかってないのかもしれないけど、顔だってホント可愛い系じゃん。なんか、ジャニ系っていうよかさ、○ー娘に入ってても全然違和感ないくらいだよ。バスケ部の先輩達にも、すごくもててるらしいじゃん」
「言うなコータロー」
オレは途端に気分が悪くなった。そうなのだ。オレはバスケ部の中じゃ一番背が低くてだから、ガタイのデカイ先輩らにとてもとても可愛がられてしまっているのだ。部活後なんかデカイデカイ人垣がオレの回りにできてしまって、視界が悪い上になんか、・・・とっても恐いんだぜ「まこちゃん一緒に帰ろう」「まこちゃんメシ食いにいこう」なんて低いガラガラの猫なで声でてんでに誘われて・・・!

「で、でもオレがどうこういうのはともかくっ!亜衣ちゃんはアレはどうやったって受けにしかみえないじゃんかよっ!顔もあんなオソロシイくらい別嬪で、そんで体も細くて、腰なんかこうきゅっとね、きゅっと締まっててっ!あんなちょーキレイなオトコは、やっぱ下にしてあんあんゆわせないとお約束に反するだ・・・ンガッ!」
青少年のトテモ正直な主張って感じでオレが言うと、コータローは真っ赤になりながらオレの口を両手で塞いだ。
「・・・勘弁してよまことぉ。あんあんって、・・・お約束ってなんなんだよ。お前ってホント、コウフンするとなに言い出すかわかんないからもう〜」
コータローが涙目でそう訴える。オレはコータローの手を口からどけながら、ふんと鼻を鳴らした。
「とにかくオレは攻めといったら断然攻めっ!」
「わかったから、もうそんなコウフンしないでよ舞琴。ホント、お前にはついていけないところがある・・・」
「け、コータローなに言ってんだ。そんなこといってっからお前は受け受けしいんだ。オトコならなあ、好きなオトコを押し倒すぐらいの心構えでいけっ!そうだお前だって押し倒しちゃえば良いんだよ史郎っての!」
するとコータローは急に青くなって、まことの大バカっ!!とか叫ぶとそのまま一目散に走っていってしまった。

ありゃ。なんか、・・・オレ言い過ぎたかなあ。いやでも、・・・いいじゃん好きなら押し倒したってさ。どうしても受けがいいってんなら、その後上になってもらえばいいんだし。オレはぶつぶつとそう言いつつ頭を掻いた。そしてその辺に散らかしっぱなしのドウジンシに気がついて、片付けようとそれを掻き集めていると、
「なにそれ」
背後から低い声がした。
振りかえるとそこには、なんと亜衣ちゃんがいつのまにかすぐ後に立ってオレを頭ひとつ上の位置から見下ろしていたのだ。

「あ、・・・」
「・・・お前、・・・あんときのぴよすけ?」
亜衣ちゃんは、オレと入学式で会ったことを覚えていてくれたらしい。感激でオレは全身に痺れが走る。
なんせオレは1年生で亜衣ちゃんは3年生。オレらなかなか会う機会はない。ときたま校庭だとか職員室だとかで亜衣ちゃんのキレイな姿を遠くに拝むのが関の山で。コータローみたく部活が一緒ならまだ接触の機会はあるんだろうけど、ちょー残念なことに亜衣ちゃんはバスケ部じゃなくて軽音楽部ってので、キーボード弾いてんだと。そっち入ろうかって思わなくもなかったんだけど、・・・・オレ、オンチだしな。
「ぴよ。お前持ってんの、それなに」
「え、」
亜衣ちゃんは、ぼおっと見惚れているオレの腕からドウジンシを一冊抜き取った。そしてオレが止める間もなくそれを開くとパラパラとページを繰ってみせる。
「が、げ、あ、ああっ、あのそれっ!」
言いながらオレはそれを取り返そうと腕を伸ばした。が、亜衣ちゃんはオレの腕の届かない高いところにそれを持って行くと、ふふっと鼻で笑って見せる。
「ぴよ、お前って見た目可愛いけど、結構スケベじゃんこんなん持ってて」

オレはかっと頭に血が登るのを感じた。ハズカシイのとバカにされた悔しさで、目の前が白くなる。
そして次の瞬間、オレは自分でもびっくりするくらいの勢いでまくしたてていた。
「ああそうだよっ!オレは結構どころかすげえドスケベで、そんでついでにゆうと入学式の時あんたにひとめボレしちゃって、それ以来オレはスケベなこと考えるというと、あんたしか出てこないっ!!」
オレは亜衣ちゃんの、オレよか頭ひとつ高いところにあるキレイな顔に人差し指をびっと突き付ける。
「日下亜衣ちゃんっ!オレは、いつかあんたをオレのもんにするからなっ!」

「は、・・・イキナリ。ぴよがナニ言ってんだか」
亜衣ちゃんは少しだけ面食らったような顔をしていたが、やがて蔑むような笑みをオレに向けると言った。
「あいにくオレは、ぴよすけはキライだよ」
「じゃあどんなオトコが好きなんだ亜衣ちゃんはっ!?」
オレが勢い込んでそう尋ねると、亜衣ちゃんは蔑笑さえ顔から拭い去って冷然とオレを見下してきた。
「キショいこというな。オレは、オトコは嫌いだ」
ぞっとするほど暗い声でそういうと、亜衣ちゃんは手にしていたドウジンシをオレに投げて寄越す。
そしてそのままくるりとこちらに背を向けると、亜衣ちゃんはそのまま歩き出した。
その後姿でさえも、・・・キレイな亜衣ちゃん。

「好きにしてみせるっ!!」
オレはその後姿に絶叫をぶつける。
「亜衣ちゃんっ!!オレはあんたを絶対オレのこと好きにして見せるからな!!」
亜衣ちゃんは振り向かなかった。ただちょっとバカにしたように肩を竦めて見せただけで、そのまますたすたと歩いていってしまった。
そして取り残されたオレはというと、・・・・気がつくとそこいら中にいた生徒達の視線を一身に浴びていたのだが、しかしそのときはそんなことにはまるで気がつかないで、オレは亜衣ちゃんの遠ざかっていく後姿を一心不乱に見つめていたんだけれど。

そしてこのことがあって後、オレは学院の亜衣ちゃんフリーク達(亜衣ちゃんは下級生から同級生から教師に至るまであらゆるオトコに恐ろしくモテまくっていたのだ。ま、当然だけどなオレが惚れるぐらいなんだから)から壮絶なイジメにあったり、そうでない奴からも身のほど知らずなチャレンジャーとバカにされまくったりするんだが、それでもこの胸に一旦ついてしまった炎は、なんというか燃え盛るばかりで。

まあ、その辺のことはまたそのうち話すけどね。



うふふ。またしてもいただいちゃいました〜

可愛い、舞琴ちゃんにメロメロですvさて、彼は攻めに転向できるんでしょうか?>俺は受けじゃないってば!!!〈舞琴くんの怒声〉

それは今度のお楽しみですか?さんぽちゃん??〈笑〉

みなさん、すっごく気になってると思いますので、是非是非続きもお願いしますね♪おねだり、おねだり。。。

さんぽさん、本当にありがとうございました。